• トップページ
  • 日本各地の紅葉だより
  • 秋色図鑑
  • 紅葉フォトギャラリー
  • おうちで楽しむ秋色時間
  • 樹木医の紅葉マメ知識
  • 紅葉クイズ
  • 秋満喫グッズコレクション
  • キャンペーン

紅葉だより > 樹木医の紅葉マメ知識

樹木医の紅葉マメ知識

皆さんは樹木医という職業を聞いたことがありますか。分かりやすく言うと、その名の通り「木のお医者さん」です。天然記念物になるような巨大な樹木や名木、街路樹や庭木など傷んだり病気になったりした樹木の診断、治療、病気の予防、後継樹の保護や育成を行っています。日比谷花壇グループの緑の総合病院「エコル」の樹木医が紅葉についての情報をお伝えします。

なぜ紅葉するの?紅葉のメカニズム

樹木は葉で光合成をして自らが生きるためのエネルギーを作りだしていますが、秋になり気温が下がると光合成が不活発になり充分なエネルギーを作りだすことが出来なくなります。そうなると樹木は葉を落として葉を維持するための余計なエネルギーを使わなくします。これは落葉という現象です。紅葉はその前段階のプロセスです。
葉の細胞には光合成をおこなう葉緑体という器官があります。
この葉緑体の中には緑色のクロロフィルと黄色のカロチノイドという色素があり、光合成をおこなっている夏はクロロフィルが多いため葉は緑色に見えます。
秋が深まり気温が下がり光合成をおこなわないようになると、クロロフィルは壊れて、カロチノイドが残ります。すると、黄色の色素だけが目立ち葉は黄色く見えます。これが黄葉のしくみです。さらに紅葉する葉では、葉の細胞中に残る糖分がアントシアンという赤色の色素に変わります。こうして黄色と赤色の色素が存在すると1枚の葉の中であの絶妙な黄と赤のコントラストが出来あがるのです。
アントシアンが出来るには8度以下の低温と十分な光が必要だと考えられています。昼夜の寒暖の差が大きい場所で鮮やかな紅葉が見られるのはこうした気象条件が紅葉の生理現象に影響しているからです。

元気な樹木は紅葉もキレイ?

樹勢の良い樹木は紅葉も美しいのですが、なぜと言われると答えに窮します。そこで紅葉についてちょと調べてみました。
意外なことになぜ植物は紅葉するようになったのか?ということ自体がまだナゾなのです。紅葉は葉の老化に伴う副作用であると説明されていましたが、1999年に北半球の262の紅葉植物とそれに寄生するアブラムシ類の関係が調べられ、紅葉色が鮮やかであるほどアブラムシの寄生が少ないことが発見されました。
自然界では無駄なく生きたものしか生き残れないため、通常無駄なことに労力を使いません。植物も無駄なエネルギーを消費しないように進化してきました。紅葉を彩るアントシアンやカロテノイド色素はそれ自体を合成するのにエネルギーを必要とします。ところが色素自体に直接害虫防除などの作用があるわけではありません。
それなのになぜ紅葉するのでしょうか?最近の研究で分かったことなのですが、紅葉は自分の免疫力を誇示する信号として進化した、つまり「十分なアントシアンやカロテノイドを合成できる自分は元気な樹木であり虫に対する耐性も強いのだから寄生してもやられないぞ」と呼びかけている可能性があるようなのです。
紅葉がキレイな樹木ほど「私は元気です」とアピールするパワーが大きい、つまり樹勢が良いとする考え方はあながち間違いではないのかもしれません。

カエデは蝦手(蛙手)から?

紅葉といえばイロハモミジやトウカエデのなどのカエデ類をイメージする方も多いと思いますがこのカエデ類、古くは「蝦手」と表記したり「鶏冠木」と書いていました。なんのことだか分かりますか?「蝦手」は葉の形をカエルの手に見立てていたのです。「鶏冠」はにわとりの「とさか」のことでこれも葉の形をもじったものです。
カエデ類の代表的樹種であるイロハモミジは、福島県以西の本州・四国・九州から朝鮮半島・中国に分布する種です。京都市にある紅葉の名所の高雄に因んで「高雄楓」(たかおかえで)とも言われています。
紅葉狩りの風習はすでに平安末期にはありましたが、このイロハモミジを主体に見ていたと考えられています。万葉集などにも「蝦手」の表記はみられます。紅葉を楽しむのは、貴族の風習でした。やがて江戸時代に入ると花見と同様に庶民に紅葉狩がひろまりました。江戸では滝野川周辺(石神井川の別称、音無川とも言います)や、品川の海晏寺や浅草の正燈寺が紅葉の名所でした。

紅葉前線がやってくる

桜の開花前線と同様に紅葉前線という言葉もあります。動植物の季節による変化を生物季節現象と言いその観測を「生物季節観測」と言います。植物の開花や紅葉には気温が大きく関与します。つまり「今年の秋の訪れが早かったか遅かったか?」などの総合的な気象状況を植物で表現することもできるわけです。
気象庁の全国約98か所の気象官署(測候所など)では構内に桜やイロハカエデが植栽されていて、イチョウの黄葉、イロハカエデの紅葉、サクラの開花、ウグイスの初鳴、モンシロチョウの初見などの生物季節現象を観測していています。(構内に標本がないときは気象官署の付近にある植物を標本を調査しています)
紅葉前線は、気象官署のイロハカエデ等が紅葉した同日を地図上に結んだ線でこれを「カエデの紅葉日の等期日線図」と言います。これらは、桜前線に対して、紅葉前線と呼ばれます。
黄葉:イチョウを対象とし、黄葉日を観測する。
紅葉:イロハカエデ等を対象とし、紅葉日を観測する。(紅葉前線)

※ 「緑の総合病院」は株式会社エコルの登録商標です。 詳しくはエコルのサイトをご覧ください。

わたしたちは、みなさんの
身近なところで緑を支えています。

  
 

pagetop

Copyright (C) 2009 株式会社日比谷花壇 All Rights Reserved.